ハートボイスプロジェクト

ハートボイスプロジェクトブログ

2016年1月17日

学校

広島で行動理論に基づき
子どもをあたたかく育てるコツをお伝えしている
ハートボイスプロジェクトの中谷美佐子です。

さて、発達障害の子どもに無理をさせたら、
彼らはたいてい高学年あたりから二次障害となり
不登校になってしまうことはご存知の方も多いと思います。

不登校になると非常に予後が悪く、
何らかの依存症に苦しむこともあり、
社会に出ていくのが困難になってしまう可能性もあります。

子ども達に「無理をさせない」というのは
怠けさせるとという意味ではなく、
スモールステップでその子の障害特性や発達に合わせて
チャレンジさせていくという意味です。

そして、彼らの得意なことをとことん伸ばしていけるよう
そこを褒めてやることによって、
彼らの苦手な部分が気にならなくなるという意味でもあるのです。

しかし、学校現場では、こういった視点がないまま
子ども達のできないことを見つけて叱り、
できていることは言葉にしない
(褒めもしなければ注目さえもしない)
関わりを続けていることが多いのです。

そのため、発達障害の子ども達は
得意なところを褒められるのではなく、
苦手な部分ばかり指摘されて日々を過ごすため、
いつしか不適切な言動などを
(周りの大人達から)強化されていくことになります。

行動理論に基づけば、
褒めることも、叱ることも、
子どもに指摘すればするほど、
子どものその行動は強化されてしまうことを
知っておきましょう。

では、ここからは保護者対応についてお伝えします。

特に、発達障害の子どもを育てている保護者は
いたるところで自分の子どものことについて話をせねばならず、
その度に嫌な経験を繰り返してきています。

「また何か強く指導されるのではないか?」

「またお母さんのせいで子どもがこうなったと言われるのではないか?」

「また、ああしなさい、こうしなさいと言われて
振り回されるのだろうか?」といった恐れや不安を持っています。

そのため、防衛本能から攻撃的になることがあります。

その他には相手に何も言わせないように
先にまくしてておく人もいます。

学校が言っている内容が
自分の子どもに合わないやり方だと分かっていても
とりあえず、教師の言うことに従っているお母さん達もいます。

基本的に、今の学校現場では保護者の方が
発達障害特性や対応方法をよく知っている場合が多く、
支援技術も身につけてきていますから、
教師が(主観の入った経験則から)我流で思いつきの対応方法を
保護者へ伝えることは非常に危険なのです。

どうしても保護者へ子どもへの対応方法を伝えたいのであれば
データに基づいた話をすれば安全です。

今年4月から障害者差別解消法が施行されますので、
教師の(エビデンスもデータもない)経験則から
保護者へアドバイスや強い指導を入れて、
その保護者がそれに従い、子どもが大変なことになった場合は
今後は恐らく訴訟となるでしょう。

障害者差別解消法には
『合理的配慮がないのも差別である』と明記されています。

合理的配慮というのは簡単に言ってしまえば
医学や科学で分かっていることくらいは
ちゃんとやりましょうよ!という意味です。

例えば、具体的に言うと、
発達障害の子どもを厳しく叱ることや、
障害特性を度々指摘することや馬鹿にする行為は
子どものセロトニン(幸せホルモンと言われている脳内物質)の低下が起き、
不登校やひきこもり、イライラ、暴力を引き起こすこともあり
絶対やってはならないのです。

しかし、学校現場にいる大人達が
発達障害特性や対応方法を正しく勉強していないため、
子ども達に対して不適切な行為を度重ね、
子ども達を思春期あたりから二次障害(うつ病や反抗挑戦性障害など)に
させてしまっていることに気づいていません。

そこで、保護者に対応する際は、
まずは子どもの良い面や頑張っているところを
保護者には伝えて欲しいのです。
そして、保護者と一緒に子どもの成長を喜ぶことが大切です。

それは教師が保護者に子どものマイナス面を伝えたとき、
たいていの親は自分の子どもの苦手なところに注目し始めるからです。

そうすると、保護者は担任から子どものマイナス面を伝えられる度、
子どもを否定的な視点で見るようになってしまい、
つい子どもの障害特性を叱ってしまうようになります。

障害特性を叱られた子どもの脳は
セロトニンの低下が起こりますから、
当然、自己肯定感が下がり、荒れていきます。

子どもを叱っても子どもの苦手なところは改善されませんから、
苦手な面の背景を探り、具体的な支援が必要なのです。

発達障害は心の問題ではなく、
発達の遅れから感覚過敏が残っていたり、
物事の捉え方や受け止め方が多数派とは違っていたり、
低緊張でずっと椅子に座っていることに困難さがあったり、
広範囲に渡って様々な発達課題があるわけで、

今の日本の教育は多様性が認められにくい環境にあるため
(平均的な発達をしている子ども達を中心に考えているため)
通常学級にいる発達障害の子ども達には具体的な支援が必要になるのです。

そして、子どもに問題行動があり、
発達障害をよく理解できている保護者には
事実をありのままに(主観なく)伝えるのみがいいでしょう。

発達障害やインクルーシブ教育を勉強していない教師の場合は
保護者への「傾聴」を心がけるといいと思います。

ここで問題なのが、教師・保護者共に
発達障害についてよく分かっていない場合です。
大変なことになってしまう前に専門家の力をかりましょう。

発達障害について長年勉強してきている教師であれば
対応方法のアドバイスもできるのですが、
一度か二度、テレビで発達障害番組を見たことがあるくらいでしたら、
決して保護者にアドバイス等はしてはいけません。

それは、誤った視点から、学校と家庭の両方から、
子どもが障害特性を叱られることが多いからです。

障害特性を叱り続けるとどうなるか?
先程も申しましたようにセロトニンの低下が起こりますから
うつ病になってしまいます。

そうすると、子ども達は不登校になります。
不登校になった子どもの予後が悪いといったデータが出ていますから
どうか、先生方、(不確かな)経験則から
保護者への強い指導は入れないようにお願いいたします。

経験則というのは、たいてい主観が入っていますから当てにならなく、
不適切な対応方法を保護者に伝えることになるため、
親子関係が崩れたり、家族がうまくいかなくなることが多いのです。

先生方には何を伝えるにも
精神論ではなくデータをもとに話して頂けますと助かります。

どうか、今後は発達障害の子どもの保護者には
子どもの良い面や頑張っているところのみを
まずは具体的に伝えることを心がけてください。

子どもを褒めると子どもの行動への捉え方が肯定的になるため、
教師の精神衛生にもとても良いのですよ。

子どもの良いところを見る習慣があり、
子どもをよく褒める教師は精神疾患等にかかる率が低いとも言われています。

その反対に、子どものマイナス面に注目し、
叱責して子どもを何とかしようとする教師には、
うつ病になる確率が非常に高いといったデータが出ています。

こういったことも踏まえて、
子ども達のマイナス面に目を向けて何とかしようとするのではなく、
子ども達の良い面や頑張っているところを見つけて、
そこを褒めて強化していくやり方を
学校全体でやっていかなければならない時代がきています。

それだけで子ども達は十分育ちますからよろしくお願いします。

行動分析に基づいた子どもの問題行動プログラム、残り2席です。
まずはこちらをよく読んでからお申込ください↓
ハートボイスプロジェクト
「保護者のための子どもをあたたかく育てるコツ講座」

こちらの本は視点や思考を「前向きに」できるのでお勧めです↓