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学校で困っている子の見つけ方

2017年6月13日

メディア

子育て

学校

発達障害


FMちゅーピースタジオ内。左にいるのは水田アナ、パソコン見ながらしゃべっています。真ん中の奥にいるのはチーフディレクターの石田さん。右側で半分顔が切れているのが私です。

こんにちは。行動理論に基づいて子育てのコツをお伝えしている
ハートボイスプロジェクトの中谷美佐子です。

さて、今日はFMちゅーピーでしゃべっておりました。
内容は「学校で困っている子の見つけ方」です。
以下に話した内容を書いておきますので参考にしてください。

一般的に授業妨害などする子どもは
たいてい「とんでもなく困った子ども」と見ている人が多いのですが、
実際には「とんでもなく困り続けている子ども」という
見方をした方がいいのですよ。

特に目立って困った子どもというのは
支援の対象と考えておく必要があるんです。

でも、たいてい「本人のわがまま」のせいにされていたり
保護者の関わり方が悪いんじゃないかと言われていたりしますが
実はそうではないのです。

「めっちゃ悪い」んじゃなくて、躾がなっていないんじゃなくて、
そうせざるを得ない理由があるということなんです。

例えばですね、A君という小学3年生の子がいました。
担任の先生がA君は国語の授業になったら
クラスメートの邪魔をする、叫んで教室を走り回ると言います。

それで、この担任の先生に国語の授業のどういった時に
A君は教室を走り回ったり、クラスメートの邪魔をするのかを
観察してもらいました。

そうすると、担任の先生の観察で分かったことは
A君は国語の授業でも音読の時間になると騒ぐということだったんですね。

ということは、A君は音読に何かしら困難さがあるのかもしれないと思って
アセスメントしたところ、縦の眼球運動がうまくいかず、
国語の教科書がうまく読めなかったんです。

検査の結果ではA君は横書きの文章は何とか読めたのですが
国語の教科書のような縦書きの文章は
眼球が上下にうまく動かせないために
手で教科書を上下に動かさないと読めなかったわけです。

でも、教科書を上下に動かすと先生から
「教科書を動かさずにしっかり持ちなさい」と怒られますから
どうやっても読めないわけです。

それで、音読が辛いのでクラスメートの邪魔をしたり
教室を走り回って授業の妨害をしていたわけです。

当然、担任の先生はA君を怒って廊下に立たせたりしますから
A君は辛い音読しなくて済むようになるわけです。

騒げばA君は嫌なことを避けることができますね。
授業中騒いだり、クラスメートの邪魔をする子は悪い子どもだと
誰もが思っていますが、まさかそんな背景や理由があるなんて
思いつきもしませんから、やはり「悪い子」とレッテルを
誰でも貼ってしまうわけです。

だから、私は目立って困った子どもは、実は困っている子どもで
支援の対象になりますよとお伝えしています。

先程のA君ですが、音読の時間に騒いでいた理由が分かってからは
眼球が上下にスムーズに動くようにビジョントレーニングをしたり
教科書にカラーフィルムを載せると読みやすくなるということが分かって
こういった学習支援をしてもらえるようになってからは
まったく教室で騒がなくなりましたので、
とんでもなく困った子どもと言われている子ども達が
いかに学習支援が必要かということが分かりますね。

A君の話はほんの1例で、「この子はどうにもならない」と思われている
子ども達というのは、たいてい多くの困難さをもって教室にいるのだと
いうことを知っておいて頂きたいと思います。

何の問題もなく教室にいられるのだったら
大人しく授業を聞いているわけですから。

だから、この子達を怒ってもしかたないわけで
支援が必要な子ども達だということを
私達大人が理解して合理的配慮のある教室を
作っていかないといけないということなのです。

子ども達の困り感に私達大人が気づかず
適切な対応や配慮をしないと、
子ども達は頑張ってもできない、上手くいかないといった
失敗体験や叱責された記憶だけが蓄積していって
ますます自尊感情を低下させることになってしまいます。

自尊感情が低下すると意欲の低下が起こりますので
やる気のない子どもになってしまうんですね。

また、発達障害のある子ども達で学習に困難さがある場合
学習支援をしないと二次障害となってしまいます。
二次障害というのは本来もっていなかった障害で
環境によって障害になってしまうというものです。

例えば、障害特性に対して私達大人が怠けていると誤解して
叱責を繰り返していると人格障害の1つで
反抗挑戦性障害になってしまったケースも多くあります。
やる気がないと大人から勘違いされて
ずっと怒られ続けた子どもがうつ病になっていたこともありました。

こういった元々なかった障害に子ども達をさせないためにも
「とんでもなく困った子ども」というレッテルを貼るのではなく
サポートの必要な子ども達なのだと理解して
学校や家庭で、配慮や学習支援を進めていかなければならないと
私は思っています。

とまあ、こんな感じで喋ってまいりました。
参考にして頂ければ幸いです。

さて、ハートボイスプロジェクトでは
怒らなくても子どもが良い行動をするようになる
子育てのコツを学べる講座を年2回開いています。
2017年9月6日(水)から第6期を始めるため
現在、お申込を受けつけています。
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不定期ですがメルマガを発行しています。
子育てのコツや、行動理論に基づいた子どもとの関わり方、
多様な人達、違いを認め合える関係づくり等について書いています。
また、ハートボイスプロジェクトの講座案内等もお送りします。
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ネガティブな言葉をポジティブにしてみよう!

2016年11月8日

メディア

子育て

支援・トレーニング

発達障害

ラジオ ペアレントトレーニング

広島で行動理論に基づいた子育てのコツをお伝えしながら
NPOではインクルーシブ教育の普及活動をしている
特別支援教育ジャーナリストの中谷美佐子です。

さて、毎月第2火曜日午後2時~
FMちゅーピー広島すまいるパフェ
MISAKO先生のVIVA!発達凸凹~s!という番組に
私は出演しているのですが、、、

この番組では、早いもので、もう3年も(びっくり!)
発達障害についてしゃべっています。

今日は「ネガティブな言葉をポジティブにすると
子ども達が健やかに育ちますよ~」といったお話をしました。

ざっとお話した内容をまとめると下記のようになります。

学校の中で困っている子ども達や、
発達が気になる子ども達の相談に
私はよくのることがあるのですが、

子ども達も保護者の皆さんも
本当にギリギリのところまで頑張ってきて
いらっしゃるんです。

「もう十分がんばって来ていらっしゃるのだから、
がんばり過ぎるのをやめましょうよ」とお伝えすることがあります。

でも、保護者の皆さんは一所懸命情報を集めて、
勉強して、そして、学校にお伝えしてくださっているのです。
子ども達を助けようと、とにかく頑張っていらっしゃいます。

それは、お母さん達ががんばるしかない社会がある、
現状があると言うことなのです。

そこで、親子が少しでも頑張りすぎなくて済むように
社会全体でネガティブな言葉を
ポジティブに変えていけるといいのでは?と思って、

今日は見方を変えて子ども達の才能を伸ばすことができる
言葉の使い方についてお伝えしてみました。

それで、先日うちの息子がこんなことを言ったのですね。

「俺、結構しつこいよね。っで、しつこいをもっといい言葉に
したいんだけど、、、」と。

うん、それは「粘り強く頑張ることができる」と言えばいいと答えてみたら、
「もうちょっと短いのがいい」と息子が言うので、

「根性がある」でどう?と聞くと、それいいね!と言うことで
我家では「しつこい」という言葉を使いそうになったら
「根性がある」と言葉を置き換えることになったんですね。

つまり、良い響きの言葉に置き換えて
より良い思考にしていこうというものなんですね。

これを心理学用語でリフレーミングと言います。

同じ物事でも、人によって見方や感じ方が異なっているので、
どんなことも見方によって長所にもなるし、
同時に短所にもなるんですね。

うちの息子が「しつこい」を「根性がある」と
言いかえるようになった話と同じで、

例えば、試験で残り時間が10分あった場合、
悲観的に考えた場合は「もう10分しかない」と思いますよね。
でも、これを楽観的に考えた場合は
「まだ10分もある」と思うことができるということなんです。

それで、よく障害特性というか、
発達障害の症状をマイナスに捉える方がいるのですが、
プラスに捉えてもらえるといいな~と私は思っています。

と言うのは、やはり、子ども達は周りの大人が
どういう見方をしているかとか、言葉の使い方で
考え方や捉え方がプラスにもマイナスにも変化していくんですね。

いつも「落ち着きがない」と言われて育てば
本当に落ち着きがなくて、
いつもイライラしている人になってしまいますけど、、、

「落ち着きがない」の見方を変えてみると
「よく気がつく」とか「行動力がある」とか「好奇心旺盛」と
言うこともできます。

ここで、水田アナと一緒に
下記の言葉をポジティブにしてみましたよ。

内気 → 落ち着いた雰囲気、思慮深い、自分の内面をじっくり見つめているタイプ

頑固 → 自分をしっかり持っている、芯が強い、意志を貫く力を持っている

気が弱い → 謙虚な人柄、たくさんの可能性を熟考できる、他人のことを気にかけることが得意、慎重派

協調性がない → 自分をもっている、芯が強い、他人に左右されない

雑 → おおらか、細かいことを気にしない、小さな間違いより大きな本質をとらえるタイプ、

集中力がない → 興味の対象がたくさんある、好奇心が旺盛で行動に素早く移すタイプ、気になることがあふれている

短気(せっかち) → 仕事が早い、行動力がある、

友達が少ない → 親友を厳選する目を持っている、周囲に惑わされない、自分を持っている、自立している、自分を尊重できている、自分一人の時間を大事にしている

無気力 → エネルギー充電中

要領が悪い → 確実な方法を考えるタイプ、じっくり色々な方法を考えながら行動していくタイプ
(参照:もっと素敵に生きるための前向き言葉大辞典)

こうした前向きな言葉に変えてみると
随分、子どもの良いところが見えてきますね。

番組の中では「ネガポ事典」を紹介しました↓

表紙をクリックすると詳細を見ることができますよ。

一人一人がこういった見方を変える努力をしていくことで
随分、先生達も、子ども達も、お母さん達も楽になると思います。

というような内容を今日はラジオでお話しました。

さて、公開講座のご案内です。
12月4日(日)午前10時15分~午後4時30分
午前中は信州大学医学部付属病院の
精神科医師・本田秀夫先生のVTRでの講座です。

発達障害のあるお子さんの幼児期から成人期の関わり方について
お話して頂いています。

成人期がしんどくなってしまわないように
私達大人が知っておく必要のある内容が満載です。

教育や子育てにおいて、
発達障害のある子ども達を二次障害にさせないために、
より良い考え方と対応方法を学ぶことができます。

広島で本田先生のお話を聞く機会はなかなかありませんから、
(VTRでの講座となりますが)ぜひお越しください。

午後13:30~16:30は、
義務教育後の対応、就職してから大切なこと、
学齢期から身につけておきたいことについて
星槎大学の三森睦子先生にお話いただきます。

三森先生は私共と一緒に
学習・発達支援員養成講座を運営している東京本部の先生で、
昨年、広島へお越しくださった際に大人気となられました。
そこで、私は三森先生に無理をお願いして
今年も広島までお越し頂くことになりました。

三森先生のお話を聞いた受講者は
「生きるのが楽になった」「生徒と関わることが楽しくなった」
「子育てが楽になった」とおっしゃいますよ。
そんな素敵な先生にお会いしてみませんか?

会場は中区地域福祉センター5階大会議室で、
10時から開場です。

詳細・お申込はこちらからです↓
NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

女子は見過ごされやすい!? Radio on air!

2016年5月11日

メディア

発達障害

FMちゅーピーマスコット

広島で行動理論に基づき、
子育てのコツをお伝えしている
ハートボイスプロジェクトの中谷美佐子です。

さて、昨日は毎月第二火曜日
午後2時05分から放送されている
FMちゅーピーすまいるパフェ
MISAKO先生のVIVA!発達凸凹~S!の日でした。

昨日お話したテーマは
「女子の方が見過ごされやすい!?」

まずはこちらから男女間の差について読んでみて下さい↓
cuta 女子の自閉症は見過ごされる?人数も男子の半分以下で少なく軽いため

研究グループ(上記のリンク先)は
さまざまな要因で女子の診断が遅れている
可能性があると指摘しています。

そこで、女子が見過ごされやすいため
大人になってから困ることが多いというお話をいたしました。

実際に大人になってから自閉スペクトラム症と分かった
女性からお話を伺うと
どの方も、早くから自分が自閉スペクトラム症の特性を
たくさん持っていて、それに対する対応の仕方を
自分で身につけて大人になりたかったとおっしゃいます。

特に、大人しいタイプの自閉スペクトラム症の女性の場合、
学校では勉強もできて、おりこうさんにしていたりすると
何ら問題ないように見えて、彼女らの苦しみに
私達大人が気づくことができないようです。

そうすると、大人になってから、、、というか、
就職してから大変な思いをすることが多いということが
分かってきています。

やはり、ちょっとした顔の表情が読み取れなかったり、
周りの空気を読んで対応するのが難しかったり、
誘いを断れなかったり、、、というか、、、
断る方法や断るためにはどんな言葉を使ったらいいか
分からなかったりとか、、、

こういった、一般の人であれば
自然に身につけて大人になっていけるところが、
自閉スペクトラム症の人達にとっては
教えられていないと難しいのだというお話をしました。

よく学校などで
「当たり前のことを当たり前にできる人になりましょう」って
言われますよね。

私達だと「当たり前のこと」というのはどんなことなのかを考えると、
挨拶がちゃんとできるとか、遅刻しないとか、提出期限を守るとか、
なんとなくその場に応じて想像できますけど、、、

自閉症の人達は、なんとなくこんなことかな?と
察するというのが難しいようです。

だから、早期発見・早期対応が必要なのですね。

小さい頃から、自閉症の特性を持っていることが分かっていれば
丁寧に教えて育てることができますし、

私達が彼らの特性をちゃんと理解していれば
自閉症の人達が自分を押し殺して、
他人のふりをして(普通のふりをして)
生きることは必要なくなるわけです。

自閉症の人達は、自分ではない自分を演じて
一般社会に合わせて生きていることが非常に多いのです。

そのため、うつ病になって、精神科や心療内科へ行って
初めて自分が自閉症だったと分かることも多くなってきています。

自分の子どもが自閉症だと分かっていれば
普通なら「さっさとやりなさい!」と言うところを
「何時何分までに○○を終わらせてね」と言えますから、

何でこの子は何にもできないんだろう?とか
私が言うことが伝わらないと思って
叱って育てる事がなくなりますね。

こういう時はこういうふうにするのよと
丁寧に教えて育てることができますから
二次障害も防ぐことができますし、

大人になってから、
「そんなことは教えられていない」とか
「そんなこと聞いたことがない」ということにもならないですね。

だから、自閉症の子を育てるときは
宇宙人が地球にやってきて
地球のことが何にも分からなくて困っている状態なのだと思って
丁寧に具体的な言葉を使って育てるというのがポイントになります。

そして、女性の精神科医で自閉症の方が書かれた
【無限振子】という本を紹介いたしました。

Lobinさんというペンネームで書かれているのですが、
いつ診断を受けるのが適切かという答えには
Lobinさんは「早ければ早いほどいい」とおっしゃっています。

早期発見・早期対応の必要性を感じる一冊です。
自閉症の女の子を育てるコツをつかむことができるかもしれません。

本の表紙の上をクリックすると詳細が分かるように設定しています↓

水田さんと中谷
チーフディレクターの石田さんが撮ってくれました。
水田さんと私です。

合理的配慮、どうすればいいの?Radio on air

2016年4月13日

メディア

仕事

子育て

学校

FMちゅーピー
左からFMちゅーピーの水田アナ、石田チーフディレクター。
一番右が私です。

昨日のFMちゅーピーすまいるパフェ
MISAKO先生のVIVA! 発達凸凹~s! では
今月1日に施行されたばかりの
【障害者差別解消法】についてお話しました。

内容は以下にちょこっとまとめておきます。

この法律【障害者差別解消法】は
不当に差別をしてはいけませんよというもので、
その人が困らないように
できる限りの「合理的配慮をしなければならない」と
定められています。

合理的配慮というのは、
例えば、知的障害のある人には
ふりがな付きの文章にするとか、

ディスレクシアがあって、読み書き困難がある場合は
ICT機器を使ってもいいとか、

どうしても教室で、発達上、体が動いてしまう子には
授業中、体を動かしてもいい時間を設けるとか、
体を動かしてもいい授業づくりをするとか、

その人に合った工夫(配慮や互いの調整等)をすることを
【合理的配慮】と言います。

つまり、個々によって合理的な配慮は異なるため、
みんなが障害特性について知っていないと
配慮(調整)をするということは難しいだろうと
私は思っています。

この法律はどんなところが新しいのかと言うと
今まで、その人ができないのは「障害のせい」と捉えられてきましたが
これからは「障害のせい」にするのではなくて
「社会のせい」と考えてみませんか?ということだろうと思います。

知的障害があるから、人の話が分からないのではなくて
知的障害がある人が分かるように
ふりがなをつけたり、具体的に書いたりしていない
社会環境に原因があるのだと捉えてみようということです。

社会全体で、障害があると言われている人達と
一般的に健常者と言われている人達の間にある大きな壁(障壁)を
なくしていきましょうと言っているのがこの法律です。

それで、この法律は学校やお役所などの公的機関に
義務づけられているので
学校等ではお子さんへの配慮について
お母様方は伝えやすくなったと思っています。

これまでは子どもが学校に合わせるといった形でしたが
これからは学校がそれぞれの子どもの障害特性に合わせて
配慮や調整をしていかなければなりません。

「私はこういうことに困っています」
「私の子どもはこうすると上手くいきます」
「こんな工夫をしてもらえると助かります」といったことを
伝えやすい社会にしていける第一歩かな?と
私は思っています。

そして、合理的配慮というのは、障害があるからと言って
「最初からあきらめなくてもいいんですよ。
ちょっと工夫すれば大丈夫だし、
社会環境をちょっと整えれば何とかなるよね?」
というところから始まっていけるといいですね。

もう既に、どの学校もやっていますけど、、、
例えば、車椅子に乗っている子がいます。
車椅子だから階段は登れません。
だからと言って、学校にエレベーターをつけろ!と
要求するのではなくて、
車椅子の子がいるクラスを1階にするという
工夫をしていますね。

つまり、両者の要求をうまく調整しているわけです。
これが合理的配慮なのです。

何はともあれ、
大切なのは本人との対話ですから、
どんな時に困難さを感じるのか?
その困難さにはどのような配慮や調整が必要なのかを
両者が丁寧に話し合うことが必要なのです。

困っていることに対して、本人そっちのけで
話を進めていってはいけませんよね。

そして、これから保護者の皆さんは
「自分の子どもの障害特性を学校へ伝えると
モンスターと思われるんじゃないか?」とか、

「こういった配慮が必要ですと伝えると
メンドクサイと思って嫌われるんじゃないか?」等と思わず、
【伝えていく力】をつけていくことが問われているかもしれません。

伝えることによって、(互いの立場への理解不足から)
両者が対立することがよくありますが、
合理的配慮は誰のためにあるのか?を
私達は常に考えておかなければならないでしょう。

合理的配慮というのは、
互いに配慮するというよりも、
互いに調整するといった方がいいと思います。

だから、みんなで互いに調整しながら
みんなが一つになって
この法律をみんなが幸せでいられる
ためのものにしていきましょう!

考えてみれば、健康な人だって
助け合いながら暮らしているわけですから、
人は一人では生きていけないことを
もう一度思い出してみないといけないような気がします。

障害者差別解消法は
「自分が必要な助けを求めてもいいんだよ。
自分が必要な助けを得てもいいんだよ。
みんなが必要な助けを求めることができる
社会にしましょうよ!」と伝えてくれているように
私は思うのです。

障害者差別解消法については
内閣府のホームページから
リーフレットをダウンロードすることができます↓
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet.html

こちらは『わかりやすい版』です↓
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_wakariyasui.html

昨日のラジオでは、こんなお話をいたしました。
次回は5月10日(火)午後2時からです。
Ustreamでもご覧頂けます。

合理的配慮のある授業づくり(ラジオ放送)

2016年3月8日

メディア

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広島で応用行動分析に基づいて
子どもをあたたかく育てるコツやインクルーシブ教育について
お伝えしているハートボイスプロジェクトの中谷美佐子です。

今日は、毎月第2火曜日午後4時から放送の
FMちゅーピー すまいるパフェ
MISAKO先生のVIVA!発達凸凹~s!の日でした。

写真は左から、水田アナ、ディレクターのReoさん、私で
Reoさんはナレーターでもあるので
お声がとってもダンディーで素敵なんですよ。
もちろん、水田さんも滑舌が良く美しい声で聴き惚れてしまいます。

さて、今日はスタジオ入りがギリギリになってしまった私は
コインパーキングに車をとめてドアをロックして
振り返った瞬間、タイヤのストッパーに躓いてしまい
思いっきり転んで、左ひざと右腕を強打し
あまりの痛さに耐えながらも、、、
自閉症のニキ・リンコさんの言葉を思い出したのでした(笑)

それは「みんな早く、歳をとってくれ~!」という言葉。

自閉症の人達は空間認知がうまくいっていなかったり
身体感覚が平均的な発達をしている人達とは違っていたりで、
子どもの頃からよく転んだり、
頭を鉄棒にぶつけたり、
椅子の門で足の小指を打ちつけて
あまりの痛さにしゃがみ込む等
大変な思いで生活をしていることが多いのです。

でも、歳をとると、誰しもこういったことが多々でてきますね。

だから、ニキ・リンコさんは皆が早く歳をとってくれたら
自分の不具合が目立たなくなるとおっしゃっているわけです。

そんな話から今日のラジオ放送は始まりました♪

そして、スタジオ入りする前に美容室へ行っていた私が見た
光景=美容師さんとお客さん(80歳くらいの女性)との
会話についてもお話しました。

お客さん「今日は、私は何時に予約したんかね?」

美容師「12時です」

お客さん「10時?あ~待たせたね~」

美容師「12時です」

お客さん「10時!あ~そう~」

美容師(笑顔で・・・うなずいている)

何とも、ほんわかとした行き違いコミュニケーションなのでした(笑)

そこで、私は発達が凸凹している子ども達の
コミュニケーションにも似ているな~と思ったわけです。

この美容師さんは何度同じことを聞かれても
笑顔で答えるという素晴しい支援をされていたのでした。

この美容師さんのように、
子ども達にも、のんびり繰り返し答えてあげることができれば、
子ども達はいつもハッピーでいられるのですが、、、

「何度言ったら分かるの?」
「何度も言いません」と言われて
いつも叱られてばかりいる子ども達に
『どうか、どうか、皆さま、何度でも繰り返し答えてやってください』と
お願いしたのでありました。

それから、今日は合理的配慮のある授業についてお話しました。

教室を立ち歩く子どもがいると、たいていの先生が困ります。
もちろん保護者も困ります。
でも、一番困っているのは立ち歩いている子ども本人なのですが、、、

それが参観日だったりしたものなら、
保護者から「授業中に子どもを立ち歩かせるとは先生がなっていない」とか
「あの子の親はちゃんと躾けていないんじゃないか」等といった
クレームが出たりするわけです。

そうすると、その子どもも、先生も、その子の保護者も、辛いのです。

そこで、合理的配慮のある授業づくりをしてみましょう!

たいていADHDのある子ども達は体を動かしている方が
勉強に集中しやすいですし、記憶もよくできる場合が多いようです。

体を動かすことで、自身の脳の発達を促しているとも言えますから
じっと席について勉強するよりも身体のどこかを動かしている方が
学びやすい子ども達とも言えるのですね。

そうすると分かってきます。
じっと座ったままで、受け身の授業では
彼らは学びにくいということです。

そこで、授業づくりを少しばかり工夫して
子ども達が動いてもいい時間をつくるといいですよ~
といったお話をしました。

例えば、どうしても立ち歩いてしまう子どもには
「A君、職員室の先生の机の上にあるプリントを取ってきてくれる?」と
お願いしてもいいですね。

このお願いであれば、A君は先生の役に立っているということで
自己肯定感を高めることもできますし、
身体を動かすことができるので立ち歩きを減らすことができます。

また、授業の中に、時々ペアトークを入れると
横の人とおしゃべりしながら、先生から教えてもらったことを
フィードバックすることができる上、
横の人としゃべる時に横を向いたりしますから
口だけでなく身体も動かすことができます。

席から席に歩いてカードを集めるといったゲーム感覚で
新しい言葉を覚えられるような工夫もいいですね。

アメリカでの報告ですが
発達に課題のある子ども達だけでなく
全ての子ども達が授業中、ずっと姿勢を保持して
座って学ぶよりもバランスボール等に座って勉強した方が
記憶もよく、学習に集中できるそうですから、
ぜひとも、子ども達のために身体を動かしてもいい時間を少しだけでも
取り入れた授業づくりをよろしくお願いできるとうれしいです。

といったようなお話をしました。

そして、私が大好きな阿部利彦先生が書かれた本の紹介もしました。
本の表紙をクリックすると詳細を見ることができます↓

阿部先生は所沢市教育委員会にいらっしゃった先生で
現在は星槎大学の准教授や
星槎大学付属発達支援臨床センター長等をされています。

この本は子ども達への見方を変えて(リフレーミングをして)
子ども達を応援しようといった内容で
阿部先生の子ども達へのあたたかさを感じることができますので
ぜひ読んでみてください。

次回は4月12日(火)14時からの放送です。
何をしゃべるか?まだ決めていないのですが、
何かをしゃべります。いい加減ですみません(笑)

子どもの問題行動解決プログラム
(応用行動分析に基づいた子育てのコツ)を
少人数(2~4人)で徹底的に学んで
子どもとの生活を楽にしていきたい方はこちらです↓
ハートボイスプロジェクト【保護者のためのこどもをあたたかく育てるコツ講座】