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2015年8月13日

二次障害

発達障害

行動理論に基づき、子育てのコツをお伝えしている
特別支援教育ジャーナリストの中谷美佐子です。

近年、うつ病だと思って心療内科に行き、
実は、ADHDだったとか、
自閉スペクトラム症だったという人が増えています。

発達障害をあまり専門としていない
心療内科や精神科を訪れた場合は
うつ病だけでなく、パニック障害や不安障害、統合失調症などと
診断されることもあるようで、、、
「もう何年も薬を飲んでいるのですが、一向によくならないんです。
ますますひどくなっています」というお話もよく聞きます。

おそらくベースに何らかの発達障害があって
その特性についてご本人も周りも理解がなかったために
二次障害となっているのかもしれません。

もともと発達障害というのは、障害というよりも
脳機能の働き方が一般の人達とは違っているため、
物事の受け取り方や捉え方が多数の人達とは違います。

その違いを「自分はおかしい」「自分はダメな人間だ」と思って
周りに必死で合わせて生きていると、
どうしても苦しくなってきて、不具合が生じるということです。

また、周りの人達も発達障害の人達への理解がないと
(相手が自分と同じだと思って接していたり、
自分と他者が違うということの理解がないまま接していると)
怒りやイライラが出てきて、
「なぜ?できないんだ」「どうして?そうなんだ?」等と
他者と自身との違い(違和感など)に
苦しんでいる人たちを責めてしまいます。

同時に、本人も自身について気づきや理解がうまくできていないと
他者に「あなたが分かりやすく説明しないから、私が理解できないんだ」とか
「上司や部下がダメ」「私はちゃんとやっているけれど、周りがダメ」等と
人のせいにするようになっている場合もあります。

客観的に自身や周りの状況を見ることに困難さがあり、
自身や他者を理解する(気づく)力が弱いことに原因があります。

そうすると、だんだん攻撃的な訴えが増していくこともあり、
家庭内暴力に至っていることも間々あります。

これらを二次障害と言うと分かりやすいかもしれませんね。

じゃ、どうするか?ですが、
まずは、発達障害について詳しい専門医に行くということです。

そして、自身の得意なところと、苦手なところを知って、
工夫の仕方を身につけていくといいわけです。

ご本人だけでなく、ご家族も一緒に専門医のところへ行き、
共に発達障害について学びあう姿勢が大切だと思います。

平和な暮らしが訪れるのは、まずはそこからのように思います。

もう少し詳しく「二次障害」について知りたい方は
こちらかをお読みいただくといいでしょう↓
朝日新聞の医療サイト[健康・予防]
うつ病だと思っていたのにADHDだった!?

9月13日(日)LSA(学習・発達支援員)養成講座の記念講演会を開きます。
広島初の養成講座スタートを記念しての講演会です。
詳細はこちらからご覧ください↓
NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

2015年8月10日

子育て

発達障害

行動理論に基づき、子育てのコツをお伝えしている
特別支援教育ジャーナリストの中谷美佐子です。

ADHDの子ども達というのは
たいてい怒られっぱなしで生きていることが多いです。

そして、たいていの大人たちがこう言います。
「この子たちは、怒っても怒っても、言うことを聞きゃ~しない!
脅しても罰を与えても、何をしてもダメ!」と。

それもそのはずです。
だって、彼らの脳は笑顔には反応できるけれど
怒りには反応できにくくできているのですから。

こちらからADHDの子どもの脳がどうなっているかを知ることができますよ↓
ADHD児は怒り表情の認知が困難、世界初の研究成果
近赤外分光を用い脳活動計測

つまり、彼らに理解してもらうには
笑顔で褒めることが一番だということです。

彼らの良い行動を褒め続けていくことで
良い行動が定着していくのですね。

一方、彼らのして欲しくない行動は
見て見ぬふりをしておけばいいのです。
そのうち、その「して欲しくない行動」がなくなっていきますから。

ADHDの子ども達を怒っても
エネルギーの無駄になるだけです。
穏やかに笑顔で生活しましょう!

そうすれば、ADHDの子ども達だって
大人の言うことをちゃ~んと理解して
おりこうさんでいてくれますよ~

これには、ちょっと技術を身につけておかないと、
なかなか難しいですから、
「発達障害の子どもをあたたかく育てるコツ講座」を
受講されるといいです。

っが!9月からの講座は既に定員いっぱいとなりましたので、
来年4月からとなります。ごめんなさい。

こちらの記念講演会はお席はまだ空いております↓
*9月13日(日)LSA(学習・発達支援員)養成講座の記念講演会*
広島初の養成講座スタートを記念しての講演会です。
詳細はこちらからご覧ください↓
NPO法人日本インクルーシブ教育研究所

2015年8月7日

子育て

行動理論に基づき、子育てのコツをお伝えしている
特別支援教育ジャーナリストの中谷美佐子です。

考え方の中に常に「相手が間違っている」があると
たいてい暴力や暴言が出やすくなります。

それは、「自分は正しい。間違っていない」
といった考えがありますから、、、

「私が正しい」と言わせたい、
従わせたいといったような感情が出てきて
何としても相手を変えようとするわけです。

でも、相手はそう簡単には変わってくれませんから
相手を変えようとすると、無理が生じますから
いつしか暴言や暴力で
自分の考え方に従わせようとするようになります。

こういったことは、子育て中はしょっちゅう起こります。
それは、子どもは自分の思うがままに
自由に生きていますから、、、
親が思うようには従ってくれないからです。

一方、親の方も長年生きてきた中で、
「○○あるべきだ」とか「○○してあたりまえ」
「○○すべき」「○○できなければならない」などなど、、、

たくさんの固定観念ができてきていますから
子どもに「しつけ」と称して
「こうあるべき」といったことを押しつけてしまうことが多くなります。

でも、ちょっと立ち止まってみると
「うん?人ってみんな違うよね?
子どもだって同じじゃなくていいよね?」なんて
思えるのですが、、、

日々の生活に追われていると、
なかなか、客観的に自分を見ることができなくなってしまいます。

近年、DV(家庭内暴力)が増えてきていますが
DVにつながる価値観というのは、
たいてい「私の方が偉い」という考え方があります。

また、「私が正しい」や「あなたが間違っている」といった
考え方が習慣化してきているので、
言葉や態度、行動に出やすくなります。

ことに弱い立場である子どもや妻に暴力は向きやすいのですね。

つまり、弱い立場の人達に「暴言」や「暴力」が出始めたら
自分の「私が正しくて、相手が間違っている」といった考え方を
改めなければいけない時が来ているということなんですね。

こういう風に↓
「誰が正しいかなんて分からない。
みんな考え方は違う。
自分もOK! 相手もOK!」と考えられると
暴言や暴力はなくなっていくのですが、、、

自分で気づいて「変わりたい」といった気持ちにならなければ
そう簡単に人は変われませんね。
ここが難し~い。

でも、気づいただけで十分すばらしい!
ちょとづつ、ちょっとづつ、考え方を修正していくのです。
それも、1年くらいかけて

そうしているうちに、いつしか、暴言も、暴力も、なくなっていきます。
そう!暴言や暴力は「考え方のゆがみ」から来ているのですね。

NPO法人女性・人権センターステップ理事長の
栗原加代美さんのインタビューが参考になりますよ。読んでみてください↓
「お前が間違っている」がDVを生む
加害者構成プログラム講師が語るDVにつながる3つの価値観とは?」

9月13日(日)LSA(学習・発達支援員)養成講座の記念講演会を開きます。
広島初の養成講座スタートを記念しての講演会です。
ぜひ、ご参加頂ければと思います。
詳細はこちらからご覧ください↓
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2015年8月5日

子育て

行動理論に基づき、子育てのコツをお伝えしている
特別支援教育ジャーナリストの中谷美佐子です。

たいていの人が子どもを「自立」させようとするとき、
「何でも一人でできること」と考えてしまい、
必死になって子どもに訓練させることが多いように思います。

しかしながら、実際、私たちが生きているこの社会で
何でも一人でできる等、無理だと気づかされます。

食事を一つとってみても、
簡単な流れにすると、、、
まず、農家の方が土を耕し、
農作物を作ってくださったものを
他の誰かがトラックで運び、
誰かがお店にその農作物を並べて
それを売っている。
そこへ誰かが食材を買いに行って、
誰かが食事をつくる。
その誰かが作った食事を食べる。

私たちが食事をするまでに
どれだけの人達の手が加わっているかを考えると
たくさんの人達が協力し合っていることが分かります。

このように、何でもかんでも一人で
「できるようにならなければならない」といった考え方にもとづく
自立は実際のところあり得ないなのです。

だから、私たちの本当の自立というのは
「依存先を増やすこと」という考え方が
必要だろうと思うのです。

この「依存先を増やす」という考え方があれば
子どもも大人も実に楽に生きることができるようになるのであります。

以前もお伝えしたことがあるのですが、
東京大学先端科学技術センターの熊谷晋一郎先生のインタビュー記事です。

自立とはどういうことなのか?を深く考えさせられますし、
依存先を増やすことの必要性がよくわかります↓
TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行)
インタビュー自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと

9月13日(日)LSA(学習・発達支援員)養成講座の記念講演会を開きます。
広島初の養成講座スタートを記念しての講演会です。
ぜひ、ご参加頂ければと思います。
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2015年8月3日

思春期

思春期の子どもを持つ親はどうしていいか?
分からないことが多いようで、
いろいろご質問をうけることがあります。

また、自閉スペクトラム症の子どもの思春期は
どうなるのだろうか?といった疑問を
持っていらっしゃるお母様方にもよく出会います。

基本的に自閉スペクトラム症であっても
周りの子ども達と同様に思春期がやってきます。

違いとしては、平均的な発達をしている子ども達は
自身の体の変化や周りの環境などについて
自然と学び取ることができるけれど、、、

自閉スペクトラム症の子ども達は
周りの大人たちから本などを使って、
具体的に、丁寧に、教えられない限り
思春期の体や心の変化を
どのように対処すればいいか等、
自然に学び取ることは困難だろうと、、、

つまり、医学的に、科学的に
ありのままをたんたんと伝えることが
必要だと思います。

特に性については
「こんなことは言えない」と包み隠して
伝える大人達が多いのですが、
こういった察しないといけないような表現を多くする日本では、
自閉スペクトラム症の子ども達は
分からないことだらけで本当に困っています。

その困った子ども達が困ったまま大人になっていきますから、
今の大人を見て分かるように、
対応に困ってしまう大人が増えることになってしまうわけです。

10年以上前の記事になりますが、
こちらはとても参考になりますので読んでおかれるといいと思います↓
自閉症児の思春期 国立成育医療センター こころの診療部 発達心理科医長 宮尾益知

埼玉県警察のサイトも参考になります↓
埼玉県警察 思春期の子どもを持つ親へ

私達大人は子ども達には丁寧に教えながら、
あたたかく育てていくことが大切です。